顎関節症に熟練した顎関節学会指導医が治療します
顎関節症とは顎関節およびその周囲筋群の痛みと機能障害が出現する疾患で、その症状は全人口の半数近くになると言われています。しかし、症状を訴えて受診するのは5-10%位と報告されています。
痛みがある、顎関節に音がする、口が開きにくい等を主な症状(3大症状)とし、付随して頭痛、耳鳴り、耳痛、肩こり、頸部痛を訴えることが多いです。
顎関節の構造(下記の図を参)
顎関節は左右の関節が同時に動き、また左右が異なる動きをする特異な関節です。しかし関節としての構造体は他の関節とほぼ同じです。凹みがある部分の骨に下顎骨の丸くなった頭の部分が入り込んでいます。両者の間には軟骨からなる関節円板が介在し、上関節腔と下関節腔に分けています。関節円板の後方部分や関節を包んでいる関節包には血管や神経が豊富に存在しますので、刺激により炎症が起きやすいです。
顎関節運動は咀嚼、嚥下、会話等で行われ、関連する筋肉は咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋です。顎関節に分布する神経は三叉神経の第Ⅲ枝で、その中の耳介側頭神経は側頭部、外耳、鼓膜にも枝を出し痛みに敏感な神経です。
顎関節症の主な症状は疼痛、雑音、開口障害で3大症状と言われています。
■疼痛(顎が痛い)
顎関節症の痛みは顎関節そのものか、顎関節周囲の筋肉に存在するかの鑑別が必要です。関節円板後方の組織や関節を包む関節包には神経や血管が多く炎症が生じやすく、痛みの原因になります。また筋肉の疼痛は過緊張、疲労、痙攣等により生じます。これらの痛みは長時間の咀嚼、会話、頻回のあくび等により増長されます。歯軋り、くいしばり等は関節への負荷の増大、筋肉の過緊張・疲労等を生じさせ、一番良くない習癖です。
原因
○関節が痛い→関節の炎症
○筋肉が痛い→過緊張、疲労、痙攣
■雑音(音がする)
顎関節運動時に生じる雑音には2種あり、一つはクリックでカクン、カキン、 ポキンなどと訴えますが、関節円板の位置異常(前方転位)により生じます。もう一つはクレピタスと言われジャリジャリすると訴える粗造音です。下顎頭の凹凸(下顎頭の変形)が原因と考えられます。
■開口障害(口が開きにくい)
正常者の最大開口量は男性で52mm、女性で48mmです。また日常生活に支障のない開口量は約35mmと言われています。この開口量は顎関節における下顎頭(下顎骨の先端部分)が前方に滑る(滑走運動)ことにより達成されます。しかし関節円板が前にズレた状態のままですと、開口に伴い円板が前に押されることになります。この状態では下顎頭の前方への滑走運動量が減少します。その結果、開口量の減少となります。